昼食を摂った後、アカツキたち四人はスクールの敷地に繰り出した。
他のクラスメートも誘ってはみたのだが、イオリは図書室で本を読みたいとのことで、断られた。
また、せっかくもらった教科書を見てもっと勉強したいという生徒もいたので、結局四人だけで行くことになった。
「スタイラーは持った?」
「当たり前だよ。一応、ぼくたちもレンジャーの見習いだし。スタイラーはトイレに行く時だって手放さないんだよ」
「ま、そうだな」
「…………微妙なところだとは思うけど」
校舎を出たところで、ヒトミが足を止めて訊ねる。
スタイラーは所有者以外使えないとはいえ、常に所有すべきものとして教えられているのである。
そんな基礎中の基礎は、当然四人とも知っている。
四人の腰には、ホルダーに納められた緑のスタイラー。
アカツキの言うとおり、寝る時もトイレに行く時も、常に携帯しておかなければならない。
悪用される危険性がほとんどないとは言え、盗難や紛失に遭わないに越したことはないのだ。
「ま、これくらいは当然よね。それで、どこ行く?」
「船出の広場はどう? 青空スクールをやる場所なんだけど、今のうちに見ておきたいわ」
「そうね。そうしましょっか。時間はたっぷりあるんだし」
スクールの敷地と単に言っても、ちょっとした町ならスッポリ収まってしまうだけの広さはある。
隅から隅まで足を伸ばすのには時間がかかるが、卒業までは三ヶ月もあるのだ。
どこから回っても問題ないということで、これから向かう場所はすぐに決まった。
「船出の広場って確か、南東の方にあるんだったよね」
「ええ。入学案内にそう書いてあったわ」
「それじゃ、行こっか♪」
船出の広場とは、校舎の南東に位置する、海に面した広場である。
四人はそこへ向かう道すがら、青々とした芝生が敷き詰められたグラウンドを眺めていた。
スタイラーを手に、ポケモンのキャプチャを練習する生徒や、鬼ごっこやドッジボールに興じる生徒もいた。
皆の表情は明るく、入学式で見せていた不安は吹き飛んだようだった。
他にも、寮長を務める『世話焼きおばさん』が敷地に住んでいるビッパたちに木の実を与えている様子も見受けられた。
まるねずみポケモン・ビッパ。
茶色い毛に覆われたポケモンで、愛くるしい顔立ちと出っ歯が特徴である。
「ビッパって、相変わらず可愛いよね〜」
「あれがビッパかあ……フィオレ地方にはいなかったな。可愛いっつーか、微妙にマヌケ面にも見えるんだけど」
「人懐っこくて可愛いポケモンよ。何気に体当たりが強いんだけど」
「へえ、そうなんだ……」
ビッパは、アルミア地方ではかなりメジャーなポケモンである。
カントーやジョウトなど、本土の地方ではピカチュウやプリン、ピッピといった愛くるしい外見のポケモンが大人気だが、アルミア地方においては、ビッパの方が彼らよりも愛されている。
ピカチュウたちの個体数を遥かに凌ぎ、アルミア地方で最も多く棲息している種族であることも理由として挙げられるが、何よりもビッパの穏やかな気性と、ちょっとマヌケに見えながらも愛嬌があって憎めない顔立ちが魅力的なのだ。
ダズルはしきりに珍しがっていたが、彼の故郷フィオレ地方においては、ビッパはほとんど棲息していない。
名前は聞いたことがあっても、実物を見るのは今日が初めてなのだろう。
食事をするビッパたちを見て心を和ませているアカツキたちと違って、「へぇ……」と言いたげな視線を向けていた。
「びぱー、びぱーっ♪」
「はいはい、慌てなくてもみんなの分はあるからね」
好物の木の実を目の前にして、ビッパたちは目をキラキラ輝かせた。
世話焼きおばさんが苦笑しながら、我先にと群がってくるビッパたちに木の実を与えた。
全員の口に行き渡ったところで、おばさんがそっと離れる。
よほど腹を空かせていたのか、ビッパたちはものすごい勢いで木の実をかじり始めた。
基本的に食事は木の実を与えるだけだが、ポケモンバトルをすることのないポケモンたちにはそれくらいで十分らしかった。
他の仕事のため校舎に戻ろうとした世話焼きおばさんだったが……
群れの中で一番大きなビッパの、他の個体よりもやや長めの尻尾を誤って踏んでしまった。
『あ……』
足の裏で踏みしめた感覚が変だということに気がついた世話焼きおばさんの声と、ビッパたちを見ていたアカツキたち四人の声が、見事に重なった。
……が、その直後。
「びぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
尻尾を踏まれたビッパが悲鳴を上げて暴れ始めた。
世話焼きおばさんは慌ててその場を離れたが、リーダー格のビッパが尻尾を踏まれたことで混乱し、その混乱が他のビッパにまで伝播した。
「びぱーっ!!」
「びぱーっ!!」
「びぱーっ!!」
あっという間に、ビッパたちがあちらこちらを駆け回り、グラウンドは騒然となった。
キャプチャやドッジボールなどやっていられなくなり、生徒たちは困惑と驚愕の表情をビッパたちに向けるしかなかった。
太っているような印象を受ける外見とは裏腹に、ビッパたちが俊敏にグラウンドを駆け回るため、動くに動けない状況がしばらく続いた。
しかし、その状況に終止符を打つべく一石を投じたのはアカツキだった。
——こんな時、何をすべきなのか。
こうすればいい、という便利なマニュアルがあるわけではない。
ただ、ビッパたちはかなり慌てている。
リーダーが混乱しているのでは、落ち着いて木の実を食べていられるはずもない。
ポケモンレンジャーは、困っている人やポケモンを助け、自然や平和を守るのが仕事。
原因がどこにあり、誰が悪いにしても、困っている人やポケモンがいたら、助けなければならない。
子供の頃、とあるレンジャーに助けられた時の記憶が脳裏を過ぎる。
誰かを助けたいと思う気持ちに理由なんてない。
だから……
(今やんなきゃいけないからやる。見習いだって関係ない。うん、それだけだ!!)
心の中で強い想いを抱き、腰のホルダーからスタイラーを引き抜くと、右手の親指をグリップに押し当てて起動させる。
ボタン操作でアンテナを出し、淡い光を帯びたアンテナをビッパたちに向ける。
そして、誰に声をかけるでもなく、腹の底から声を絞り出した。
「キャプチャ・オン!!」
『……!?』
普段の明るくて気楽な表情や口調とは明らかに違う少年に、生徒たちの視線が集中した。
当の本人は周囲のことなどお構いなしに、スタイラーからディスクを射出し、手近なところを走っているビッパのキャプチャに入った。
ベーゴマのような形をしたディスクは、下向きの先端から燐光を撒き散らしながらビッパ目がけて宙を駆ける。
アカツキがビッパをキャプチャしようとしていることを悟り、他の生徒も同様にスタイラーを手に一斉に叫んだ。
『キャプチャ・オン!!』
……と、叫ばなければならないというルールがあるわけではない。
要は気持ちを奮い立たせるための掛け声のようなもので、大概のレンジャーは気合いを入れ直す意味合いで「キャプチャ・オン」と叫んでからキャプチャを行っているのだ。
瞬く間に、グラウンドに無数の光の粒子が舞った。
複数のディスクが飛び交う中、アカツキは自分のディスクを見失わないよう意識を集中させていた。
アカツキがスタイラーを振りかざす度に、ディスクが動きを変え、幾度もビッパを取り囲む。
真剣な面持ちで『落ち着いて、ビッパ!!』と強く、想いをめぐらせる。
走り回るビッパをかれこれ十回ほどディスクが取り囲んだところで、ビッパは動きを止めた。
アカツキの気持ちが通じて、ビッパが落ち着きを取り戻したのだ。
それから、次々とビッパたちが落ち着きを取り戻した。
他のディスクとぶつかったり、ディスクがビッパの体当たりを受けて吹っ飛ばされたりして失敗した生徒も多かったが、根気強くキャプチャを続けることで、成功させたのだ。
「びぱーっ、びぱーっ」
「びぱーっ」
落ち着きを取り戻したビッパたちは、何事もなかったように世話焼きおばさんの傍まで歩いていくと、食べかけの木の実を再びかじり始めた。
「やった〜っ!!」
「キャプチャできたーっ!!」
ビッパたちが落ち着きを取り戻し、グラウンドには生徒たちの笑顔と歓声が溢れた。
予期せぬ形とはいえ、見事にキャプチャを成功させたのだ。
入学試験では『手加減して暴れるよう』指示を受けたポケモンをキャプチャしただけであり、練習の練習程度の意味合いでしかなかった。
しかし、今は本当に混乱したビッパたちをキャプチャした。
ある意味初体験のことであり、緊張しながらも頑張ってキャプチャできたことは、生徒たちに大きな自信をつけさせる結果となった。
「ふう……良かった〜」
「いきなり暴れ出してどうなるかと思ったけど……なんともなくて良かったな」
「うん」
アカツキはダズルの言葉に頷き、深々とため息をついた。
何とかビッパたちを落ち着かせることができたが、毎度毎度都合よくキャプチャが成功するとは限らない。
胸に手を宛がうと、緊張しまくったせいで、心臓がばくんばくんと早い鼓動を刻んでいるのが分かる。
キャプチャの成功に喜び、あるいは安堵に胸を撫で下ろす生徒たちに笑みを向け、世話焼きおばさんは何度も頭を下げた。
それから、尻尾を踏んでしまったリーダー格のビッパの身体を撫でながら、謝った。
「ビッパ、ごめんなさいね。
……お詫びに、食べ終わったら別の木の実をご馳走するわ。こっちへいらっしゃい」
「びぱーっ♪」
「びぱーっ♪」
世話焼きおばさんの言葉に、ビッパたちが飛び跳ねて喜ぶ。
どうやら、尻尾を踏まれたことはあまり怒っていないようだった。
それどころか、追加でご馳走してもらえることの方がうれしいらしい。穏やかな気性で人懐っこいビッパらしい反応だった。
世話焼きおばさんが校舎の裏に向かって歩いていくと、ビッパたちは急いで木の実を平らげ、続々と彼女の後を追いかけた。
「……でも、ビッパの尻尾踏んじゃうなんて、とんだ災難よね」
「ええ、まったくだわ」
ヒトミがため息などつきながら言うと、リズミも同感だと言わんばかりに頷いた。
だが、貴重な経験になったことだけは間違いない。
とんだ災難ではあったが、なんとかキャプチャできて良かった。
アカツキはスタイラーを腰のホルダーに戻したが、その手が小刻みに震えていることに気づいた。
「……すごく緊張した」
スタイラーを操った右手だけ、震えている。
左手で右の手首をつかんで、力を込めて強引に震えを止めた。
「オレも緊張しちまったぜ。
やっぱ、実物をキャプチャするのって、試験の時とは違うんだな……」
「うん……」
ダズルもまた、今までに感じたことのない緊張感に戸惑いを隠せない様子だ。
それでも、いつまでも緊張しっぱなしでいても仕方がない。
ばくんばくんと音を立てる心臓は放っておいて、アカツキは何度か深呼吸を繰り返して気持ちを落ち着かせた。
「でも、レンジャーって毎日こういうことしてるんだよね。ちゃんと慣れていかなきゃいけないんだ」
「そうだな。今回はまだマシだったけど……問答無用で攻撃してくるポケモンもいるって話だし。
オレたち、もっともっとガンバって、落ち着いてキャプチャできるようにならなきゃいけないんだよな」
「うん。頑張ろう、ダズル」
「おう!!」
そこまで来てやっと、アカツキとダズルの顔に笑みが戻った。
いつまでも緊張しっぱなしでいても仕方がない——しかし、気楽な気持ちでキャプチャをしてもいいというわけではない。
それに、ポケモンレンジャーにとって、キャプチャは避けて通れない行為である。
ダズルの言ったように、キャプチャを『攻撃されている』と感じて、レンジャーを攻撃してくるポケモンも中にはいるのだ。
そういったポケモンたちの攻撃を掻い潜りながらキャプチャを行い、力を借りなければならないこともある。
今回は気性の穏やかなビッパが相手だったから比較的楽にキャプチャできたものの、もしこれが、気性が荒く好戦的なことで知られるサイドンやボスゴドラだったりした日には、周囲を飛び回るディスクやレンジャーに攻撃を仕掛けてくることも十分に考えられる。
ポケモンの力は人間のそれとは比べ物にならない。
キャプチャすら命がけになるような状況もないとは限らないのだ。
このようなことを考えてはいけないのかもしれないが、ビッパ程度に手こずっているようでは、レンジャーとして働いていくことなどできはしない。
しかし、誰もが最初からそういったポケモンをキャプチャできるわけではないのだから、少しずつ確実に腕を上げていけばいい。
アカツキたちは少し時間をかけて落ち着きを取り戻すと、改めて船出の広場を目指して歩き出した。
予想外のアクシデントはあったものの、むしろレンジャーについて考えさせられることでもあり、四人の話題はビッパをキャプチャした時のことで占められていた。
「でも、最初にアカツキが『キャプチャ・オン』って言ったんだよね」
「うん」
リズミの言葉に、アカツキは小さく頷いた。
当人はあまり良く覚えていないのだが……どうやら、自分が最初にキャプチャを始めたらしい。
混乱しているビッパたちを見ていられなくなって、ほとんど無意識にキャプチャを始めたのだ。
いつの間にか隣にやってきたリズミが、顔を覗き込みながら笑顔で言ってくる。
「もし、アカツキがキャプチャを始めてなかったら……たぶん、もっと混乱してたと思う。
みんなでキャプチャできたのも、アカツキのおかげだよ。
わたしだったら……たぶん、言い出せなかったもの」
「そうねぇ……今回だけは良くやったわ。さすがあたしの弟。鼻が高いわね」
彼女の言葉に頷くヒトミ。
まるで自分の手柄のような言い方をしたものだから、ダズルは呆れたような顔でため息などつきながら、アカツキに話を振った。
ヒトミのペースに慣れていない彼にしてみれば、それは苦渋の決断のようなものだったのかもしれないが。
「なんでおまえの鼻が高くなるんだよ……アカツキ、おまえもなんか言ってやれって」
「別に、ぼくはそんなのどーだっていいし」
「あ、そう……まあ、そりゃそっか……」
アカツキの素っ気ない反応に、ダズルはしばし躊躇った様子を見せ——そして納得した。
ヒトミの鼻が高かろうが低かろうが、そんなことはどうでもいい。
冷たいかもしれないが、彼女はあまり調子付かせない方がいいのだ。
それで幾度、余計なトラブルを運んできたか……十三年間の付き合いで、アカツキは『ヒトミに対して、してはいけないこと』を熟知していた。
話が脱線しまくったこともあり、それからは何を話せばいいのか四人ともよく分からなくなっていたが、船出の広場に到着して、そういったものは須くリセットされた。
「ここが船出の広場かあ……なんか、面白いものが置いてあるよね」
アカツキが指差した先——広場の中央には二メートルほどの大きさのオブジェが鎮座していた。
何を模っているのかはよく分からないが、流線型で先進的なイメージを受ける。
船出の広場は半島の南東部に位置しており、なだらかな斜面が海岸線まで続いている。
東端には申し訳程度の桟橋が設けられているが、大きさからしてボートしか接岸できそうにない。
地理的特徴を一通り捉えたところで、四人は広場の中央に鎮座するオブジェの傍まで歩いていった。
大きな一枚岩を削って作られたのだろう。
継目は特に見当たらず、色彩や質感はどこも似たようなものだった。
「誓いのオブジェ……って書いてあるよ」
「あ、ホントだ」
「どういう意味なんだろうな?」
「さあ……」
四人してオブジェを様々な角度から眺めていると、ヒトミがその一点を指差した。
視線を向けると、オブジェの下部に金属製のプレートがはめ込まれているのが見えた。
そこには『誓いのオブジェ』と彫り込まれていたが、目にしたヒトミ、アカツキ、ダズルの三人には意味が分からなかった。
しかし、リズミは合点が行ったように手を叩いた。
「ああ、なるほど……これが『誓いのオブジェ』なんだ……」
「知ってるの、リズミ?」
「ええ、気になって調べたことがあったの」
振り向きざまに投げかけられたヒトミの問いに頷いて、リズミは『誓いのオブジェ』について話した。
「このオブジェの傍で力強く誓ったことは、本当に叶うって言い伝えがあるんだって。
なんでも、昔からそうやってたくさんの願いを叶えてきたって言われてるそうよ」
「へえ……そうなんだ」
どうやら迷信や伝説の類のようだが、そういったものが生まれてくるのも無理はない……アカツキはオブジェを見やり、素直に思った。
見た目のイメージという先入観の為せるワザかもしれないが、実際にそうやって願いが叶った者もいたのだろう。
誓うことで意識の根底に努力概念が生まれ、目標へ向かって突き進んでいく意欲が飛躍的に増し——結果的に夢に手が届いたというだけかもしれない。
夢もロマンものない言い方をするとそうなのだが、それでも特徴的な外観から受けるイメージからして、そういった先入観があったとしても仕方がない。
増してや、この場にいる四人は将来の夢に向かって走り出した若人である。
「じゃ、誓おうかな。
ぼくは絶対、ポケモンレンジャーになる。レンジャーになって困ってる人やポケモンを助けて……それから、平和とか自然も守っちゃう」
「あーっ、抜け駆けなんてずるーい!!」
オブジェに握り拳を突きつけながらアカツキが宣誓すると、ヒトミが柳眉を逆立てた。
どうやら、自分が一番にやりたかったらしいが、ここで言い争っても不毛なことになるだけと、代わりにアカツキに負けない大声で夢を誓った。
「あたしはトップレンジャーになってみせるわ!!
……そんでもって、少なくともこいつに負けないだけの働きをするっ!!」
「こいつって、弟に向かってそんな言い方しなくてもいいのに〜」
「オレもレンジャーになって、自然を守ってやるぞーっ!!」
「わたしはオペレーターだけど、レンジャーを支えて頑張るわ!! 時にはこき使っちゃうけど!!」
ヒトミの言い方に困った顔で苦言を呈するアカツキだったが、すぐさまダズルとリズミが叫んだため、彼の言葉は誰の耳にも届かなかった。
まあ、それはどうでもいいとして。
四人して、改めて夢を口にして気持ちが晴れたのか、突き合わせた顔には一様に明るい笑みが浮かんでいた。
「自由時間って言ってたけど、少しくらいここでゆっくりしていこうぜ」
「うん、そうだね。そうしよっか」
「賛成〜♪」
午後は基本的に自由時間。
スクールの敷地を見て回っても良し、図書室で本を読むのも良し。
アカツキたちは前者だったが、せっかくここまで来たのだから、少しくらいはゆっくりしていきたい。
青々と生い茂る芝生に腰を下ろして、東に広がる大海原を眺める。
陽光を照りうけてキラキラ輝く海と、上空をつがいで飛んでいるキャモメ。
アルミア地方なら大概の場所で観ることのできる海の光景だったが、気持ちが晴れている状態で見ているせいか、心が洗われるようだった。
「そういえば、気になったんだけど……」
海景色にほのぼのした気分を抱いていると、リズミが思いついたように口を開いた。
「みんな、どうしてレンジャーになろうって思ったの?」
「そういや、そうだよな……」
「気になるよね」
「うん」
「じゃあ、話してみない?
その方が『あいつには負けない!!』って気持ちになるし、せっかく三ヶ月間一緒に過ごすんだもの。友達のこと、もっとよく知りたいな」
「そうだね」
かなり強引な理論展開ではあったが、言っていることが尤もなだけに、リズミの提案はすんなり受け入れられた。
「じゃ、わたしからね。
わたしがオペレーターになろうと思ったのは……」
言いだしっぺだから最初に言うべきと思ったのか、リズミは笑顔で話し始めた。
自分が、オペレーターを志した理由を。
To Be Continued...